2024年7月3日、ついに新紙幣が発行されました。
賛否が分かれるデザインの新札ですが、描かれた肖像画の人物はどんな人だったのでしょうか。
これまでお世話になった旧札がどうなるのかも気になります。
そこでこの記事では、こんなことを調べてみました。
どうぞ、最後までお付き合いください。
新札の人物は誰?どんな人?
新紙幣の両替がついに開始されましたが、長年使っていた紙幣からの変更は複雑な心境です。
よく知らない人の肖像画が描かれ、このままでは慣れる気がしません。
そもそも、紙幣の肖像画はどのように選ばれるのか調べてみると、適当に選んでいるわけではありませんでした。
紙幣にふさわしい人物だったとしても、まともな写真が無ければ、紙幣の肖像に選ばれないようです。
紙幣に載りたい人は、スタジオで良い写真を撮ってもらった方がよさそうですね。
では、新札に選ばれた人物はどんな人だったのか、簡単にまとめてみました。
新1万円札の渋沢 栄一は「日本近代社会の創造者」
渋沢 栄一は、江戸時代末期の農家に生まれましたが、一橋家の家臣の推薦で一橋 慶喜、のちの第15代将軍徳川 慶喜に仕えることになりました。
渋沢が27歳のとき、慶喜の弟徳川 昭武に付き添い、パリ万国博覧会の見学や欧州諸国を訪問。
この経験が渋沢 栄一の人生を大きく変えたといわれています。
帰国後は、静岡県に銀行的業務と物産販売を行う「商法会所」を設立しました。
その後、大蔵省の官僚として、造幣、戸籍、出納など、さまざまな政策立案を行い、新しい国作りに深く関わっています。
退官後は実業家となり、第一国立銀行や東京商法会議所、東京証券取引所など、生涯に約500社の企業に関わったそうです。
ちなみに紙幣の肖像は、70歳のお祝いで撮影された写真複数枚を参考にして描かれました。
ただ、躍動感や若々しさを表現するために、60歳代前半にみえるようにリメイクされています。
新5千円札の津田 梅子は「女子高等教育に尽力」
津田 梅子は、江戸幕府で通訳を務める家に生まれ、3歳のころに福沢諭吉らと渡米した経験もあります。
津田が6歳になると、父親が女子留学生のアメリカ派遣事業に応募。
日本初の女子留学生として、ワシントン近郊のジョージタウンで11年間滞在しました。
帰国後、伊藤 博文の推薦で華族女学校(現:学習院女子中・高等科)の英語教師になっています。
でも、女性の地位を高めるための学校を作りたいと決心し、再び留学しブリンマー大学で生物学を専攻。
そのときに書いた論文が、英国の学術雑誌に掲載され、これまた日本人女性初の快挙となりました。
2年半の修学を終えた梅子は、華族女学校、女子高等師範学校(現:お茶の水女子大学)で教鞭をとります。
8年後に念願だった自分の学校「女子英学塾(現:津田塾大学)」を創設し、女性の地位向上と女子高等教育に尽力しました。
ちなみに紙幣の肖像は、女子英学塾の創立と教育者としてのキャリアが確立した30歳代ごろの写真複数枚を参考にして描かれました。
新千円札の北里 柴三郎は「近代日本医学の父」
北里 柴三郎は、江戸時代の村役人のひとつである庄屋の家に生まれ、幼少期に儒教を学んでいます。
18歳のころ、西洋医学所に入学し、オランダ人軍医マンスフェルトと出会い、医学の道に目覚めました。
マンスフェルトから語学を教わった北里は、2年目には通訳を務めています。
23歳で上京し、東京医学校(現:東京大学医学部)へ進学。
8年後には医学士となり「医者の使命は病気を予防することにある」と確信し、予防医学を生涯の仕事とする決意しました。
35歳のころ、ドイツへ留学しベルリン大学のコッホから教えを受けます。
4年後の1889年、世界初の破傷風菌培養に成功し、翌年には破傷風菌抗毒素を発見、さらには血清療法も確立させて世界を驚かせました。
帰国後は、伝染病研究所を創立や慶應義塾大学医学部の創設、日本医師会などの医学団体や病院の設立などを行っています。
ちなみに紙幣の肖像は、風格や品位があって、学者としての地位が確立し、働き盛りで充実した50歳代ごろの写真複数枚を参考にして描かれました。
なぜ新紙幣に変えるのか
新紙幣の肖像に選ばれた人物が、すばらしい功績を残した方々なのはわかりましたが、キャッシュレスが進む今、改刷の必要があるのでしょうか。
偽造防止に20年周期で改刷している
実は、現在使われている紙幣も約20年前に改刷されていました。
改刷の主な理由は偽造の防止で、最先端の技術が盛り込まれています。
従来の偽造防止対策である、深凹版印刷やマイクロ文字、特殊発光インキなども継続して採用されています。
外国人にやさしいデザインに
外国人にも一目でわかる、ユニバーサルデザインを採用しました。
漢数字とアラビア数字の位置を入れ替え、アラビア数字を現行の紙幣より大きくなっています。
現行の紙幣と比べると、安っぽく見えてしまうという声もありますが、年齢や国籍を問わず一目で金額がわかるようになりました。
【陰謀論】タンス預金のあぶり出し
新紙幣の改刷は、偽造や使いやすさではなく、財務省の陰謀ではないかといわれています。
紙幣が改刷されると、新紙幣を手に入れたくなる感情を利用して、タンスにしまい込んでいるお金「タンス預金」をあぶり出し、消費や投資に回させようと考えているのかもしれません。
タンス預金の総額は107兆円にのぼるといわれていて、実際に新紙幣に変わった1984年、2004年は経済が動いたそうです。
信じるか信じないかは、あなた次第です。
新札に変わると旧札はどうなる?
2024年7月3日から、一部の銀行で新紙幣への両替が開始されましたが、旧紙幣はいつか使えなくなってしまうのでしょうか。
旧札はいつまでもずっと使える
日本の紙幣はいつまでもずっと使えることが約束されています。
日本銀行法第四十六条で日本銀行券(日本の紙幣)は、法貨として無制限の強制通用力があることが定められています。
実際に、発行が停止された紙幣のうち、現在でも使えるお札は18種類もあります。
福沢諭吉、樋口一葉、野口英世のお札は現在も発行されているので
「旧札が使えなくなる」という詐欺が現れるそうなので、気をつけてくださいね。
自動販売機やATMで使えないことも
旧紙幣はいつまでもずっと使えますが、場所によっては使えないかもしれません。
ATMや自動販売機、自動券売機などの一部の無人レジでは旧紙幣が使えない場合もあります。
2030年ごろにはすべての紙幣が新札に入れ替わるので、それまでは少し不便に感じるかもしれません。
まとめ
2024年7月3日、ついに新紙幣が発行されました。
約40年にわたって1万円札の肖像を務めた福沢諭吉とのお別れは寂しいですが、新紙幣を飾る人物がどんな人か知ることで何とか諭吉さんとも決別が出来そうです。
とはいえ、新紙幣と出会えたときは、「おっ」と少しうれしい気持ちになるのは間違いありません。
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